舞う

いつもの春がきた友人たちとお気に入りの紅茶屋さんに行くついでに、公園でサンドイッチを食べながらちらほらと咲いた桜をながめた公園にも、桜にも、凸凹とした思い出があったあの子が夜中に自転車でやってくるあわてて、部屋の中を漫画みたいにぐるりと一…

明け方

開幕から揺れたり燃えたりした2024 命を脅かされている人を見てただ祈ることはできず仕事の対応に追われて悪態をつく ひどい元旦だった 明けて本格的に仕事始めをして いかに出来ない自分かということを改めて知らされて ああ、もう ここからいなくなりたい …

ここに在る

ときおり訪れる理由のない不安と焦りたしかに、家族を持った人にくらべて自分について考える時間が長いのでひとりだから起こる不安なんだとは思う だけど結局考えるにしろ考えないにしろ何も解決してないという意味では同じだただ、あるってことに気付かなけ…

晴れ間

友達の話を聞いた かつて一生一緒にいるって約束した相手のなれの果て本来はそれも含めて引き受けると神様に約束しただけどそれは、自分がボロボロになったときに相手もそうしてくれただろうと思えるなら、でいいと思うんだよ 多分その人は、あなたが何をし…

都合よく

誰かと一緒に生きていくことのいとしさも うとましさも知っていてうとましさに勝るいとしさを失ったからここにいる。後悔してるような気になるのは、いとしさだけを思い出してるからだ。

戻ってくる

5月になって、あの日のことを初めて友達に話した なんでか、なんとなく、自分の中だけの出来事としてとどめておきたかったことを口に出して 友達から改めて、選択を肯定されて そうだよね、そうなんだよね、これで良かったのだよね、と。 あの時どんな選択を…

選んだから

隣に誰かいて欲しいときと居て欲しくない時を比べた時に後者の方が多かったからこうした。私を見るひとのうち何人かは「もったいない」とか「何か理由となる欠陥があるに違いない」とか言ったり言わないまでも、そうなんだろうな、という顔をしていたり、す…

どうしようもない

好きな作家が原作の映画を見て、運動もして それから好きな人たちとおしゃべりをする午後を過ごした翌日でも その日が特別忙しいわけではなくて晴れの日でも どうしようもなく、うつむいて過ごしてしまうということはある 好きな歌人がテレビに出ていた 歌人…

暑い日

電車でとなりに座った見知らぬ子供の 顔より大きいペットボトルを両手でつかんで水を飲んだその時のとがったくちびるがかわいかいかった たとえばでもこの子が自分の子であれば、 そんなくちびるのことも埋もれて忘れてしまうんだろう

開いて、閉じる

存在すら忘れていた部屋の扉が突然開いて 懐かしいあれこれが飛び出してきて ひととおり懐かしんで、昔の宝物を嬉しく撫でて そしてどうしてこの部屋を閉じたのか思い出して とてもかなしくなって 開けなければよかったのに だけどもう一度出会えてうれしか…

肩を

別に、名前を呼ぶんでもなんでもよかったのに肩をたたいたのは 最後にそうできなかったから

手を

盛者必衰な映画を見た翌日、なんだかお金を使いすぎてしまった翌日の今日。 どうしてか胸がざわざわする。 きっと映画のせいだ。それから雨のせい。 良い映画だった。音、歌。そして友達。夢。憎しみ。 それらを軽々と超えて転んで、もういちど、つなぐ。 き…

選ぶ

自分が死ぬ時のことを時々考える 痛い死に方だろうか、苦しい死に方だろうか ひとりで居るのだろうか 私には子供がいないので、そして夫もいないので、ひとりである可能性は高い だけども親の死に目にすべての子供が会える保証はないので そして夫が自分より…

あなた

街の文房具屋で、「いっこだけ買ってあげる」と言われて 一生懸命、青とピンクの定規を見比べている女の子がいた。 彼女はお店の窓際まで行って、太陽の光で定規を照らして目を凝らして 「決められない」 とつぶやいた。そして 「双子だったらよかったのに」…

そうだよ

どの道の先にもさよならが待っている と詠ったとある歌人の短歌を、そうだそうだよ、とつぶやきながら読んで、 きみを嫌いなやつはクズだよ と詠った同じ歌人の短歌を、そうだそうだ!とこぶしを振り上げながら読んだ。 さよなら、も、クズ、も、愛、も、な…

ずっと

スマホをおもいっきりスクロールして、ずっと昔の写真を見直すくらいは暇な日だ。 小さなかわいい数年前の甥っ子を見たいのに、 その時付き合っていた恋人の写真も一緒にどんどん出てきてしまう。 消せばいいんだろうけど、別に消したいほど憎んではいないし…

紅茶を

わたしはこれ以上もうなにも持ちたくないし捨てたくもない。なんか死にてえきもちと米津がうたう、ほんとうにそうなんだ。たとえばあのとき、彼を選んで生き方をかえたとして、いま幸せかどうかなんて誰にもわからず、そして別にいま不幸せなわけなんかでは…