あなた

街の文房具屋で、「いっこだけ買ってあげる」と言われて

一生懸命、青とピンクの定規を見比べている女の子がいた。

 

彼女はお店の窓際まで行って、太陽の光で定規を照らして目を凝らして

「決められない」

とつぶやいた。そして

「双子だったらよかったのに」

と、続けた。

 

母親は静かに

「双子でも自分のはいっこだよ」

と答えてた。

 

そう、双子でもひとりひとりだよ。

あなたは唯一のひとりだよ。

でもそうだね。ふたごだったら、よかったね。